高松高等裁判所 昭和26年(ネ)40号 判決
控訴人は原判決を取り消す。被控訴人が控訴人の昭和二十三年度所得額十二万円納税額三万二千三百七十円と為した更正決定が所得額六万円納税額一万千九百二円と変更せられたことを確認する。若し右請求が認容されないときは被控訴人が控訴人の昭和二十三年度所得額十二万円納税額三万二千三百十円と為した更正決定を所得額六万四千三十二円納税額一万七百十二円と変更する、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は控訴人において昭和二十四年七月十六日被控訴人から控訴人に対し被控訴人主張の再更正決定の通知があつたことは認めると述べた外、原判決事実摘示と同一であるからここに之を引用する。(証拠省略)
三、理 由
控訴人が肩書の住所で青果物、加工水産物の販売を業としていること、被控訴人が昭和二十四年二月十二日控訴人に対し昭和二十三年度所得額二十四万円、納税額八万二千二百四十二円と更正決定をしたこと、控訴人が之に対し高松国税局長宛審査請求を為し、被控訴人が控訴人に対し同期所得額十二万円、納税額二万八千七百八十五円(控訴人は三万二千三百七十円と主張する。)と再更正決定をしたことはいずれも当事者間に争がない。
よつて先ず控訴人の第一次請求につき職権をもつて訴の当否を考えるに右訴は結局被控訴人の控訴人に対する課税処分の存在確認を求めるにあるから行政事件訴訟特例法第一条の「公法上の権利関係に関する訴訟」に属するものであつて、この場合の訴の相手方は公法上の権利関係の帰属者である国であり、被控訴人税務署長はその適格を有しないものと解するを相当とする。よつて之を原因とする控訴人の第一次請求は此点において既に失当である。
次に予備的請求に関する訴の適否であるが、控訴人の訴の要旨は被控訴人が控訴人に対して為した所得額十二万円納税額二万八千七百八十五円(控訴人は三万二千三百七十円と主張する)の再更正決定を所得額金六万四千三十二円、納税額一万七百十二円と変更すると言うにあるのであるから、所得税法第五十条第五十一条行政事件訴訟特例法第五条の規定によりその出訴期間は右再更正決定のなされた時を基準として訴の適否を決すべきところ、控訴人は右決定の通知が昭和二十四年七月十六日為されたことは控訴人の認めるところであるから、本訴は右特例法の定により控訴人が右処分のあつたことを知つた同日から六月後の昭和二十五年一月十六日までに之を提起しなければならないのに右出訴期間経過後の同年一月二十七日に提起(このことは本件記録上明白である)されたのであるから、出訴期間を徒過した不適法な訴であることは免るることができない。
よつて控訴人の第一次請求は棄却すべく、第二次請求は却下さるべきである。よつてこれと同旨の原判決は相当であるから民事訴訟法第三百八十四条第八十九条第九十五条を適用し主文のとおり判決する。
(裁判官 前田寛 近藤健蔵 萩原敏一)